オーランド・ブルーム、キルスティン・ダンスト主演の切なくも悲しみを爽やかな世界に描く感動作「エリザベスタウン」を観る。
8年もの間情熱を注いできた新シューズの開発プロジェクトが失敗したデザイナーのドリュー(オーランド・ブルーム)。次々と返品されてくるシューズの山に彼一人の責任が重く圧し掛かり、社長のフィルもお手上げ状態に。6日後のビジネス雑誌には、このシューズ会社の失敗が世間に公表されることになる。
そんな大失敗をしたドリューのもとに更なる追い討ちをかけるように知らされた父の突然死。ショックで事実を受け容れられない母の代わりに父の故郷であるケンタッキー州の小さな街エリザベスタウンへと向かうドリュー。そこで出会う父方の大勢の親戚たち、そして新たな女性との出会いにより彼の心は変化していく…。
会社での損失額に驚くよりも、非難の目と失意の目が交じり合う中で主人公ドリューはいきなり父親の死と対面する。人生、踏んだり蹴ったりとはこのことかもしれない。このことを不幸という一言で片付けるのは簡単で生きる力さえ失うのも当然だろう。だが、この映画にはそれだけが描かれるわけじゃない。亡くなった父親の親戚たち、従弟たちと交わす言葉や温かい腕に自分の血が温かいことに気づく。その瞬間は笑いと涙で感動を隠し切れない自分に戸惑い、笑いながら涙がこぼれ、複雑な思いに包まれる。人生最悪の日から学ぶ自分の人生を重ね、生きる意味が"ここ"にあるんじゃないだろうかと考える。
個人的にだが、私にとっては現実味がある素晴らしい作品としてオススメである。